13 December 2013

New Order ‎– Movement [LP/Factory ‎FACT 50 1981 UK]

1980年5月18日にJoy DivisionのボーカルだったIan Curtisの自殺で、Joy Divisionは解散を余儀なくされ、残ったメンバーはバンド名をNew Order (ニュー・オーダー)と改名し、Bernard Sumner (vo,g,key)、Perter Hook (b,per)、Steven Morris (ds,key)のオリジナル・メンバーにSteven MorrisのガールフレンドのGillian Gilbert (g,key)を加えた4人で再スタートを 切る。1980年10月25日には英国マンチェスターで4人編成となったNew Orderの初ギグが行われ、1981年1月26日にはBBCの番組「John Peel’s BBC Radio 1」のスタジオライブに出演。「Truth」、「Senses」、「I.C.B.」、「Dreams Never End」の4曲を披露した。その後、1981年1月に1stシングル「Ceremony」(全英チャート34位)、1981年9月に2ndシングル「Procession」(全英チャート38位)の2枚のシングルをリリース。そして、1981年11月に発表されたのが、この1stアルバム「Movement」(全英チャート30位)である。プロデューサーはJoy Divisionの時と同じくMartin Hannettが担当し、アルバム・ジャケットのデザインも同じくPeter Savilleが担当した。アートワークはイタリアの未来派のアーティストFortunato Deperoによる1932年の博覧会「Futurismo Trentino」向けに作ったポスター作品がモチーフとなっている。さて、音の方はボーカルをPeter Hookが担当したA1. の「Dreams Never End」でJoy Divisionの影を振り払うような軽快なギター・ポップ・サウンド(この曲はNew Orderの中でも上位を争う名曲)を展開してスタートするが、A2.以降はまだIan Curtisの幻影に支配された陰鬱な曲が並び、ボーカルを担当したBarnerd Sumnerもこの時点ではIan Curtisをかなり意識していて、Ian Curtisの自殺からわずか1年足らずとういう事もあり、呪縛から逃れられない彼らの苦悩が伺える内容になっている。彼らの後に核となるエレクトロ・サウンドも、このアルバムの時点では、まだ限定的かつ実験的であり、試行錯誤の段階であったのだろう。それでも、独特な高音域のベースを主体に、リズムボックスやエレクトロ二クスを使用した曲などは、粗削りだが所々に今後の彼らの方向性がわずかながらも伺える。もがきつつも、とにかく前に進もうとする彼らの意思を強く感じさせる作品。後年、Peter Hookもインタビューで「あの時は、とにかく早く作品を出すことが重要だった。」と語っている。まだ、Joy Divisionの影を引き摺ってるサウンドという事もあり、New Orderファンにはあまり評価が高くないアルバムだが、Joy DivisonとNew Orderを繋ぐミッシングリング的役割を果たした重要なアルバム。特に、A1.「Dreams Never End」はNew Orderの中でも上位を争う名曲である。


《Track List》
A1.Dreams Never End
A2.Truth
A3.Senses
A4.Chosen Time
B1.ICB
B2.The Him
B3.Doubts Even Here
B4.Denial