30 March 2014

Chris And Cosey ‎– Trance [LP/Rough Trade ‎– Rough 44 1982 UK]

元Throbbing Gristleのエレクトニクス担当のChris CarterとCosey Fanni Tuttiで結成されたエレクトロ・デュオChris And CoseyのRough Tradeから1982年にリリースされた2ndアルバム。レコーディングはロンドンから北東に170キロ離れたノーフォーク地方にある彼ら自身のスタジオで行われ、サウンド的には前作同様に反復する打ち込みによる様々なリズムパターンに浮遊感漂うシンセサウンドやノイジーな効果音、ボイス・コラージュなどを被せていくという無機質でミニマムなエレクトロ・サウンドであるが、リズムはより強化され、輪郭がハッキリして聴きやすくなっている。とは言えポップな面もありつつもこのアルバムでも、インダストリアル・バンド出身者らしく、様々な毒(ノイズ)はキッチリ盛り込まれているのでインダストリアル・ミュージック・ファンでも抵抗無く受け入れられるだろうし、インダストリアルに抵抗のあるテクノのファンにも是非聴いてもらいたい。また、この時期まではThrobbing Gristle時代に使用していた機材を使っているせいかThrobbing Gristleのアルバム等で聴き覚えのあるサウンドが所々に登場するが、特にA2.Lostで聴かれる打ち込みのリズムはThrobbing Gristleの12インチシングルの「Discipline」を想起させる。Chris And Coseyのアルバムの1stやこの2ndアルバムを聴くにつけ、Throbbing Gristleのサウンドの骨格はChris Carterが作っていたのだと再認識させられた。尚、このアルバムは長らく廃盤になっていてたが、2012年に日本のBirdsongからオリジナルの8曲にボーナストラック2曲を加えて、10曲入りで再発されている。


《Track List》
A1.Cowboys In Cuba
A2.Lost
A3.The Giants Feet
A4.Impulse
B1.Re-Education Through Labour
B2.Secret
B3.Until
B4.The Gates Of Ancient Cities