18 October 2013

SepPuKu ‎– Dekompositiones [12"EP/Side Effects ‎SER 03 1983 UK]

S.P.K.の1983年に自身のレーベルSide Effektsからリリースされた3曲入り12インチシングル。プロジェクト名をその作品の都度にS.P.K.の頭文字をから取った名称に変えてきたが、このシングルでもS.P.K.の頭文字をから取った"SepPuKu"(切腹)名義になっている。レコード・ジャケットもプロジェクト名に合わせて、日本の切腹の儀式の画像が使用されている。このシングルは、2ndアルバム「Leichenschrei」をリリース後に、S.P.Kの中心人物のGreame Revellが方針の違いから、もう一人のオリジナルメンバーのNe/H/iLことNeil Hillと袂を分かった後にリリースされた作品で、メンバーも基本的にはGreame Revellと女性ボーカルのSinanの2人のみに変わり、このシングルでは、第3のメンバーとしてLust Mordが参加している。さて、音の方は前作のアルバムでも聴かれたメタル・パーカッションに加え、うねる様なダークなシンセ・ベースに、よりリズムも強化がされ、全編にエスニックでリチュアルなムードを加えた暗黒ダンス・ミュージック・サウンドに変貌している。A.sideの「Another Dark Age」、B1の「Twilight Of The Idols」ではGreame Revellが、B2の「Culturcide」ではSinanがリード・ボーカルを担当している。3曲とも世界の文明崩壊を圧倒的エネルギーで表現した構成力のあるサウンドで同時期のポスト・インダストリアルのアーティストに較べても完成度の高い作品だったが、Greame Revellが期待した程にはセールスには繋がらず、金銭的にかなり痛手を負ったようだ。(当時、日本では「Fool's Mate」誌のインディー・チャート1位になったが・・・。)この事が、次回のシングル「Metal Dance」によるコマーシャル戦略に走らせる要因となる。因にこのシングルは後にCDリリースされたアルバム「Auto-Da-Fé」にボーナストラックとして収録されている。Neil Hillと共に作り上げたノイズ期から袂を分かった後の、過渡的作品で地味な存在だが、その後のディスコ・サウンドへ発展した「Metal Dance」へのミッシング・リンク的作品。個人的には、このGreame Revell主導のS.P.K.のサウンドも非常に好みで、出来ればこの「Dekompositiones」のテイストのアルバムを制作してもらいたかった。


《Track List》
A1.Another Dark Age
B1.Twilight Of The Idols
B2.Culturcide

SPK - Auto-Da-Fé [LP/Walter Ulbricht Schallfolien ‎WULP 002 1983 GER]

SPKの「Auto-Da-Fé 」は1983年に西ドイツのインディー・レーベルWalter Ulbricht Schallfolien からリリースされたコンピレーション・アルバム。A.sideは1979年のバンド初期のオーストラリア活動時代のシングル集で、一方のB.sideは1981年録音のスタジオ未発表曲集である。SPKは度重なるメンバーチェンジ、分裂を繰り返し、また、メンバー名、プロジェクト名の変名など色々と謎が多いバンドだが、このアルバムは結成初期の音源を網羅した貴重な作品である。まず、A.sideの方だが、1979年当時のオリジナル・メンバーNeil Hill (Ni/H/iL)、Greame Revell (EMS AKS)を中心にDanny Rumour、David Virgin、Carmel.E.Klasticの5人で録音された初期のシングルはインダストリアル・ノイズにパンクのアプローチを加えた非常にアグレッシブなサウンドで1st、2ndアルバムで聴けるノイズとは全く作風が違っている。特にA5.SlogunはSPK!!,SPK!!,SPK!!のシュプレヒコールが印象的なアグレッシブでパンキッシュな初期の傑作である。B.sideの3曲は1981年録音という以外は詳しいクレジットが無く、時期的には1stアルバムの頃のはずだが、Greame Revellが作ったと思しきサウンドはノイズとは打って変わって後のディスコ・サウンドを予見させるダークながらもリズミックなシンセ・ポップ・サウンド。それでもポップといってもそこはSPKの事、Greame Revellの押し殺すようなダークで強迫的なボーカル、お得意のメタリック・ビートにヒトラーの演説をコラージュしたり、さらに奇怪なノイズSEも挿入されるなど独自の毒はきっちり盛り込まれている。また、B3.A Heart That Breaksでは、後に正式メンバーとなるSinanと思しきボーカルを聴く事が出来る。このアルバムがリリースされるまでは、初期のシングルなどは当時入手困難(現在もほぼ入手不可)で聴く機会に恵まれていなかっただけに、非常にありがたいアルバムだった。また、このアルバムはパンキッシュでラジカルなサウンドを指向するNeil Hillとノイジーながらも商業的な要素も取り入れたポップ・サウンドを指向する Greame Revellの2人のパーソナリティの対称性が鮮明になった一枚。


《Track List》
A1.Kontakt
A2.Germanik
A3.Mekano
A4.Retard
A5.Slogun
B1.Metall Field
B2.Walking On Dead Steps
B3.A Heart That Breaks In No Time Or Place

9 October 2013

Sprung Aus Den Wolken ‎– Untitled [LP/Faux Pas ‎– Faux Pas 01 1982 GER]

Sprung Aus Den Wolken (スプラング・アウス・デン・ヴォルケン=雲からの跳躍)は画家のKiddy Citnyを中心に、Peter Prima、Fred Alpiが加わり、この3人を主要メンバーとして1980年に旧西ドイツのベルリンで結成され、同じくベルリンを拠点に活動したEinstürzende Neubauten、Die Tödliche Dorisらと共にベルリン・アンダーグラウンド・シーンを代表するグループである。当時、彼らはEinstürzende Neubautenらとは交流が深く、NeubautenのメンバーのAlexander Von Borsigも参加しているし、彼がNeubautenのメンバーになる前にChristiana F.と組んでいた別グループSentimentale Jugendの作品をKiddy Citnyが設立したカセット・レーベルDas Cassetten Combinatからリリースしている。Sprung Aus Den Wolkenがドイツ国内で注目を浴びたのは1981年9月4日にベルリンのテンポドロームで開催されたベルリン・アンダーグラウンド・アーティストの伝説のイベント「Die Grosse Untergangsshow - Festival Genialer Dilletanten」でのパフォーマンスで、このイベントには彼らの他に主催者であるWolfgang Müller が率いたDie Tödliche Dorisはもちろんのこと、Einstürzende Neubauten、Frieder Butzmann、Sentimentale Jugendなど凄いメンツが出演していた。因にこのライブの模様は2005年にドイツの再発レーベルVinyl on demandからCD+DVDでリリースされている。彼らはグループ結成後、1981年に自身のレーベルから2つのカセット・アルバム、Zick Zackから12インチの8曲入りミニ・アルバムを、1982年には彼らが設立したレコード・レーベルFaux Pasからオランダでのライブを収録したアルバム「Walte - Ketzer」をリリース。同じく1982年に自身のレーベルFaux Pasからリリースしたスタジオ録音盤の「Untitled」が実質的1stフル・アルバムである。このアルバムはCassetten Combinats Studioでレコーディングされ、音の方はと言うと意外にファンキーなベースに単調なリズム、時折絡むエレクトロニクス・ノイズ、テープによる異様なSEのコラージュや軟弱なメタル・パーカッション、ダブ的音響処理が聴く事が出来、そして、Kiddy Citnyのアジテーションの様なボーカルやナレーションなどがフューチャーされている。ノイジーで奇天烈なサウンドと写真で見る彼らの異様な風態などは、当時の東西冷戦時代のベルリンの社会情勢や不穏な雰囲気を反映している。尚、このアルバムは長らく廃盤で入手困難であったが、2008年オーストリアのレーベルKlanggalerieより「Faux Pas 1」としてCDで300枚限定で再発されている。


《Track List》
A1.Noch Lange Nicht
A2.Freue Mich Auf Dich
A3.Warte
A4.Sei Still
A5.Ai Akcam La
A6.Que Pa
B1.Als Wäre Nichts Gewesen
B2.Begehre Dich
B3.Nur Noch Beben
B4.Mach Mit Mir Was Du Willst
B5.Urlaub Für Ganz Berlin
B6.Längst Fällig
B7.Gong A Minute