18 October 2013

SPK - Auto-Da-Fé [LP/Walter Ulbricht Schallfolien ‎WULP 002 1983 GER]

SPKの「Auto-Da-Fé 」は1983年に西ドイツのインディー・レーベルWalter Ulbricht Schallfolien からリリースされたコンピレーション・アルバム。A.sideは1979年のバンド初期のオーストラリア活動時代のシングル集で、一方のB.sideは1981年録音のスタジオ未発表曲集である。SPKは度重なるメンバーチェンジ、分裂を繰り返し、また、メンバー名、プロジェクト名の変名など色々と謎が多いバンドだが、このアルバムは結成初期の音源を網羅した貴重な作品である。まず、A.sideの方だが、1979年当時のオリジナル・メンバーNeil Hill (Ni/H/iL)、Greame Revell (EMS AKS)を中心にDanny Rumour、David Virgin、Carmel.E.Klasticの5人で録音された初期のシングルはインダストリアル・ノイズにパンクのアプローチを加えた非常にアグレッシブなサウンドで1st、2ndアルバムで聴けるノイズとは全く作風が違っている。特にA5.SlogunはSPK!!,SPK!!,SPK!!のシュプレヒコールが印象的なアグレッシブでパンキッシュな初期の傑作である。B.sideの3曲は1981年録音という以外は詳しいクレジットが無く、時期的には1stアルバムの頃のはずだが、Greame Revellが作ったと思しきサウンドはノイズとは打って変わって後のディスコ・サウンドを予見させるダークながらもリズミックなシンセ・ポップ・サウンド。それでもポップといってもそこはSPKの事、Greame Revellの押し殺すようなダークで強迫的なボーカル、お得意のメタリック・ビートにヒトラーの演説をコラージュしたり、さらに奇怪なノイズSEも挿入されるなど独自の毒はきっちり盛り込まれている。また、B3.A Heart That Breaksでは、後に正式メンバーとなるSinanと思しきボーカルを聴く事が出来る。このアルバムがリリースされるまでは、初期のシングルなどは当時入手困難(現在もほぼ入手不可)で聴く機会に恵まれていなかっただけに、非常にありがたいアルバムだった。また、このアルバムはパンキッシュでラジカルなサウンドを指向するNeil Hillとノイジーながらも商業的な要素も取り入れたポップ・サウンドを指向する Greame Revellの2人のパーソナリティの対称性が鮮明になった一枚。


《Track List》
A1.Kontakt
A2.Germanik
A3.Mekano
A4.Retard
A5.Slogun
B1.Metall Field
B2.Walking On Dead Steps
B3.A Heart That Breaks In No Time Or Place

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