18 May 2013

Joy Division - Love Will Tear Us Apart [12"EP/Factory Fac 23-12 1980 UK]

Joy DivisionのボーカルのIan Cirtisは1980年5月18日に自宅アパートで首を吊って自殺した。当時23歳の若さであった。本日、2013年5月18日はIan Cirtisの命日で33回忌を迎える。ということで今回は彼の遺作シングルとなった名盤「Love Will Tear Us Apart」を紹介する。このシングルは彼が自殺するちょうど1ヶ月前の1980年4月18日にリリースされ、最終的に全英ヒットチャート13位まで上昇し、当時のインディーズレーベルの作品としては異例のヒットになった。ただ、突然の自殺でIan Cirtisを失ってショックを受けていた彼らにとっては初のヒットも「当然喜べなかったし、俺たちとは関係なかった、ただ、通り過ぎていく感じだった」と後年、メンバーのPeter Hookは語っている。このシングルは数々のバージョンが存在するがレコーディング自体は2回に渡って行われ、1980年の1月にオールダムのPennineスタジオで収録されたテイクと1980年3月にストックポートのStrawberryスタジオで収録のテイクが存在する。前者は後者よりもアップテンポでエフェクトが強調されたサウンドにエンディングもフェイドアウトせず終了するバージョンで、これがオリジナルバージョンであったが、結果的にはややアコースティックな感触の後者がシングルバージョンとしてリリースされた。すべてのバージョン甲乙付けがたいが、個人的にはベストアルバム「Permanent」に収録されているシングルバージョンのエンディングをIanのギタープレイでフェイドアウトしていくアレンジになったPermanent Mixが好きだ。音の方は高音でメロディアスな旋律を奏でるPeterの独特のベースに、人力テクノの様なメカニカルな音色のドラム、そして幻想的で美しく響くシンセサイザー、切ない歌詞を淡々と歌い上げるIanのボーカルが完璧にマッチしていて、これはもう完全にNew Orderのプロトタイプと言うべき音になっている。この曲はThe CureやU2など数々のアーティストがカヴァーされているが、時代を超えて今なおカヴァーされ続けている超名盤である。尚、Ian Cirtisの墓石には彼の妻Deborah Cirtisの希望により"LOVE WILL TEAR US APART"と刻まれている。


《Track List》
A1.Love Will Tear Us Apart (Recorded In Strawberry Studio)
B1.These Day
B2.Love Will Tear Us Apart (Recorded In Pennine Studio)

15 May 2013

The Flying Lizards ‎– The Flying Lizards [LP/Virgin V2150 1980 UK]

The Flying Lizards(ザ・フライング・リザーズ)はDavid Cunningham(デヴィッド・カニンガム)が結成したワンマン・プロジェクト。David Cunninghamは北アイルランドのアートスクールの出身でダダイストに影響を受け、現代音楽やフリー・フォーム・ミュージックに接しながら自己の表現方法を探っていたが、本格的に音楽活動を始めたのはロンドンに出てThis HeatやThe Pop Groupらに出会ってからである。そして、自身のソロ作「Gray Scale」の音源作成、This Heatのデビューアルバムのプロデュースなどを経て1978年にデビューシングル「Summer Time Blues」をVirgin Recordsからリリースする。続いて翌年の1979年に2ndシングル「Money」もリリース、このシングルは全英ヒットチャート5位まで上昇するスマッシュヒットになったが、そのレコーディング費用は何と僅か6ポンド50ペンスであったという。このヒットで一躍脚光を浴びた彼は1980年2月に上記のシングル2曲を含むデビューアルバム「The Flying Lizards」をリリースした。元々楽器の演奏が出来た訳ではない彼はまず、あらゆるレコーディングのルールや通常の音楽演奏の拒否から始まった。冷凍倉庫にテープレコーダーを持ち込み、シンセを通した段ボールをドラム代わりに叩いたり、楽器以外の物を使い、ダブ、テープエフェクト、コラージュなどの手法を駆使、それらを巧みに音響編集してロックンロールやファンクの解体と再構築を見事にやってのけている。かと言ってスノッブな感じは無く、脱力系の女性ヴォーカルをフューチャーしたユニークでポップにまとめあげていて彼の型破りなアイデアを実験精神で発揮しているアルバム。


《Track List》
A1.Mandelay Song
A2.Her Story
A3.TV
A4.Russia
A5.Summertime Blues
B1.Money
B2.The Flood
B3.Trouble
B4.Events During Flood
B5.The Window


13 May 2013

Orchestral Manoeuvres In The Dark ‎– Orchestral Manoeuvres In The Dark [LP/Dindisc ‎DID 2 1980 UK]

Orchestral Manoeuvres In The Dark(オーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダーク)はKraftWerkに影響を受けたPaul Humphreys(synthesizers)、Andy Mcluskey(vocals)の二人で1978年英国リヴァプールで結成されたシンセ・ポップ・バンドである。このバンド名のOrchestral Manoeuvres In The Darkとは直訳すると「暗闇の中の管弦楽団」である。彼らのデビューライブはあのリヴァプールの伝説のクラブ「Eric's」だった。そこでTony Willsonの目に留まった彼らは1979年デビューシングル「Electricity」を彼のレーベルFactory RecordsからMartin Hannettのプロデュースで5000枚限定でリリースする。しかし、ポップ過ぎる彼らの音楽がレーベルのイメージに合わないと判断したTony Willsonから「君たちは幅広い層を対象に出来る才能がある。メジャーレーベルからレコードを発表した方がいい。」と薦められメジャーレーベルのVirgin Recordsの傘下のDindisc Recordsへ移籍することになった。このアルバムは1980年発表の1stアルバム。穴開きのジャケットがまず目を引くが、これはデビューシングルに引き続き、Factory RecordsのPeter Savilleがデザインを担当している。さて、音の方は後のポップでキャッチーな音楽性を若干垣間みることも出来るが、当時の機材の限界による為なのか乾いたリズムボックスの音色や時にノイジーに聴こえるシンセなど粗削りで実験性を感じさせる部分もあり、個人的には後のポップなOMDよりもちょっと粗削りなこのアルバムの方が好きだ。もちろんOMDらしいポップな楽曲や、シングル「Electricity」なども収録されておりバラエティに富んだ内容になっている。2003年に再発されたCDヴァージョンはオリジナルにボーナストラックが6曲追加されているが、その中でもFactoryからリリースされたMartin Hannettプロデュースの7”ヴァージョン「Electricity」も収録されており、こちらのバージョンは如何にもMartin Hannetらしいリヴァーブの効いたサウンドにアレンジされており超オススメだ。


《Track List》
A1.Bunker Soliders
A2.Almost
A3.Mystreality
A4.Electricity
A5.The Messerschmitt Twins
B1.Messages
B2.Julia's Song
B3.Red Frame/White Light
B4.Dancing
B5.Pretending To See The Future