11 August 2008

Throbbing Gristle - 20 Jazz Funk Greats [LP/Industrial IR0008 1979 UK]

1975年に英国のキングストンでパフォーマーのGenesis P-Orrigeを中心にヌードモデル出身の仲間Cosey Fanni Tutti、著名なアートワーク集団ヒプノシスの一人Peter Christopherson、エレクトロニクス機器をまとめる音楽家Chris Carterと結成したアート集団がThrobbing Gristle (スロッビング・グリッスル)。このThrobbing Gristleが掲げたスローガン「Music From Death Factry(死の工場からの音楽)」や「Industrial Music For Industrial People(産業人間のための産業音楽)」をもとに作られた彼らの音楽がそのまま「Industrial Music = インダストリアル・ミュージック」と呼ばれた。つまり彼らが所謂"Industrial Music"の創設者なのだ。彼らは自身のレーベルIndustrial Recordsから作品を発表し、入念に仕込まれた過激なメッセージ性と優れたアートワークで大きな影響を与え、インダストリアル・ミュージックをコンセプトとしたというサウンドは、エレクトロニクスの反復ビートをベースに歪んだギターノイズ、テ-プ・コラージュ、ノイズ的にコラージュされるSEなどにジェネシスの呪文のようなヴォイスなど、所謂インダストリアル・ミュージックの雛形を造った。このThrobbing Gristleに端を発したインダストリアル・ミュージックは無秩序、無統制な増殖と勝手気ままな転移を繰り返しアッという間に全世界に広がってしまった。その旺盛な増殖能と既存の音楽作品との異型性も含めて、インダストリアル・ミュージックはあたかも音楽シーンの悪性腫瘍と呼んで然るべきものだろう。さて、この「20 Jazz Funk Greats」は彼らの1979年発表の3rdアルバム。安易な流通商品をとしてのベスト・アルバムを皮肉ったタイトルを付け、一見ポップな感じに見えるジャケットの写真の背景は実は自殺の名所の岬だったらしい。彼ららしい悪趣味なパロディだ。さて、音の方は彼ら独自の毒性を感じさせながらも、ポップな要素がかなり盛り込まれたThrobbig Gristleの中で最も聴きやすいアルバム。特にB1.の「Hot On The Heels Of Love」はDJ ヘルにカバーをされるなどTechno方面からの評価も高い名曲。尚、1991年からリリースされたCDにはボーナストラックとして、1981年に12"シングルでリリースされた「Disipilne」が追加収録されているが、このシングルはスタジオ録音ではなくマンチェスターとベルリンのLiveで収録したものである。


《Track List》
A1.20 Jazz Funk Greats (2:44)
A2.Beachy Head (3:37)
A3.Still Walking (4:44)
A4.Tanith (2:12)
A5.Convincing People (4:48)
A6.Exotica (2:50)
B1.Hot On The Heels Of Love (4:20)
B2.Persuasion (6:34)
B3.Walkabout (3:00)
B4.What A Day (4:35)
B5.Six Six Sixties (2:64)

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