25 May 2010

A Certain Ratio - To Each... [LP/Factory FACT 35 1981 UK]

A Certain Ratio(ア・サーテン・レイシオ)は英国マンチェスター出身のコールド・ファンク・バンド。1978年にヴォーカルのSimon Toppingを中心に結成され、Joy Divisionらと共に初期Factoryレーベルを代表するグループである。バンド名はBrian Enoの曲の歌詞の一節から取って付けられた。Factory社長のTony Wilsonに気に入られ、設立間もないFactoryレーベルと契約。1979年にMartin "Zero"Hannettプロデュースの7"シングル「All Night Party」でデビュー。この曲はJoy Divisionを彷彿とさせる暗黒Post-Punkサウンド。この時点ではグループはドラムレスでスタートしていた。その後、グループの方針もあり黒人ドラマーDonald Johnsonが加入してファンク色を強めて行く。このアルバムは1980年DemoとLiveを収録した限定販売のカセットのリリースを経て、1981年に発表された実質的1stアルバム。プロデュースはこのアルバムもMartin Hannettが担当している。基本的にはファンクがベースにはなっているが、開放的躍動感などはなく、不安感を掻き立てられるフリーキーなトランペット、空間を埋めるように漂う効果音、幽霊のようなヴォーカルがダビーに処理され、ダークかつクールな音空間。Martin HannettらしいレーベルメイトJoy Divisionとはまた違った暗黒の世界観だ。ACRのメンバーMartin Moscropは当時のエピソードとして「このアルバムはNYのスタジオで録音し、ファンキーなアルバムしようとしたが、プロデューサーのMartin Hannettがファンキーなドラマーの音をバスドラもスネアもハイハットもバラバラに録ってしまい、グルーヴがなくなってファンク感を殺してしまった。それとそのスタジオでは彼の気に入るおもちゃ(ディレイ、タイムモジュレーター)がなく、結局マンチェスターに戻り、機器の揃っているストロベリースタジオでEQをいじくりまわしてミックスダウンした。」と語っており、これが異様なファンクサウンドを生み出した一つの要因になってたようだ。 やはり、初期のFactoryレーベルの音はMartin Hannettのセンスに負う事が大きかったのである。コールド・ファンクの名盤。

《Track List》
A1 Felch (3:45)
A2 My Spirit (2:28)
A3 Forced Laugh (5:53)
A4 Choir (2:51)
A5 Back To The Start (7:49)
B1 The Fox (3:46)
B2 Loss (3:23)
B3 Oceans (3:30)
B4 Winter Hill (12:45)


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