17 May 2010

You've Got Foetus On Your Breat - Deaf [LP/Self Immolation WOMB OYBL 1 1981 UK]

本名J.G. ThirlwellことJim Foetusはオーストラリアのメルボルン生まれ。1978年に渡英すると、ロンドンのスクウォット暮らしを始めて、DAFやScritti Polittiのメンバーらと行動し、Virginメガ・ストアのバイヤー兼DJをしながら音楽活動を開始する。その後自身のレーベルSelf Immolationを立ち上げ、ここからリリースしたシングルでラジオDJのJohn Peelやそのリスナーの支持を集めた。Foetusのイメージで特徴的なのは、Scraping Foetus Off The Wheel やYou've Got Foetus On Your BreatあるいはFoetus Art TerrorismやFoetus Über Friscoなど同郷のS.P.K.のように様々な名義を使い、また、レコードジャケットにはロシア構成主義的なアートワークを好んで作品毎に使用していることだった。Foetusは長ったらしいプロジェクト名が付いてはいるが彼の完全なるワンマンプロジェクトである。音楽のスタイルでいうと割とインダストリアルのイメージで捉えられているがThrobbing GristleやS.P.K.、Cabaret Voltaireらとは違い、フリージャズ、パンク、ファンクなどの様々な音楽を解体し、そこにインダストリアルなフレーバーをMixさせて再構築するサウンドで、どちらかと言うとThe Pop Groupあたりに近いかもしれない。この作品は1981年発表の1stアルバム。自主制作で2000枚限定の少量プレスでリリースされたため、当時、オリジナルは中々お目に掛かれなかったが、1997年のアメリカのThirsty EarからCDで再発されて(これも少量限定4000枚)、ようやく聴くことができた作品。音質は81年作ということもあり、当時の機材でかつ宅録ということもあって、とにかく音がチープで3rd以降の作品のような爆発的な感じはない。しかし、このアルバムはそういうことを超えて彼のオリジナリティなスタイルがこの1stで確立している点が凄いと思う。全10曲おもちゃ箱をひっくり返したようなJunkサウンドが展開されている。それにしても彼のレコード・ジャケットのアートワークはいつ見ても秀逸で、このアナログ盤LPも世界中のコレクターから未だ人気があるようで高値安定で取引されている。

《Track List》
A1 New York Or Bust
A2 Is That A Line?
A3 Why Can't It Happen To Me?
A4 I Am Surrounded By Incompetence
A5 What Have You Been Doing?
B1 Today I Started Slogging Again
B2 Harold MacMillan
B3 Thank Heavens For Push Button Phones
B4 Flashback
B5 Negative Energy

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