14 May 2010

Sozialistisches Patienten Kollektiv - Leichenschrei [LP/Thermidor TR 09 1982 US]

S.P.K.の2ndアルバムはSozialistisches Patienten Kollektiv名義でオリジナルは米国のThermidor Recordsから1982年にリリースされた。ジャケットは今回も彼らお得意のかなりショッキングな写真が採用されている。(2ndエディションはジャケット違いで自身のレーベルSide Effectsからのリリース) 作品毎にプロジェクト名、メンバーを変化させてきたS.P.K.だが、このアルバムでもメンバーチェンジをしており、渡英し1stアルバムをリリースしたGreame Revell (Oblivon)がオーストラリアへ戻り、渡英せず仲違いしてたオリジナルメンバーのNe/H/iLことNeil Hillが復帰し,新メンバーJames Pinkerを加えた3人を中心に製作する。また、後にGreame Revellと行動を共にする、女性ボーカルのSinanや第三のメンバーと言われたLust Mordもクレジットされている。シドニーで録音された2ndアルバムは、1stの荒々しいノイズの洪水から大分整理され、エレクトロニクスリズムの強化、効果的なSE、それに絡む切れ味鋭いメタルパーカッションの比重も高くなったサウンドは、綿密な構成ともに完成度の高い作品になっている。勿論、エレクトロニクス・ノイズや精神病患者の声、女性の悲鳴、ポルノ、軍事訓練の映画、テレビとロシアの修道院の歌などをサンプリングしたというテープをコラージュするなどインダストリアル的な要素も満載だから、万人に薦められるわけではないがS.P.K.の最高傑作にしてインダストリアルミュージックの歴史に残る名盤。S.P.K.はこのアルバムをリリース後シドニーでのライブを2度こなし、小規模ながら米国ツアーを敢行するなど精力的な活動をする。その模様の1部は1983年にTwin VisionからリリースされたVHSビデオ「Despair」に収められ、Greame Revellがライブで羊の脳を喰いちぎったという伝説的パフォーマンスも収録されている。また、米国ツアーの1部であるカンサス州のローレンスで行われたライブはカセット「The Last Attempt At Paradise 」というタイトルで米国のFresh Soundsからリリースされるなど、一見バンド活動は順調に見えた。しかし、バンドの方向性を巡り、コマーシャルなアプローチも含めたアートプロジェクトを模索するGreame Revellとラジカルで政治的な活動を主張するNeil Hillが再び対立。Greame Revellは女性ボーカルのSinanと共に再び英国へ渡ってS.P.K.を続け、S.P.K.を脱退したNeil Hillはオーストラリアに残って新バンドのKPSを結成するも彼の妻Margaret Hillが心臓麻痺で急死し、それを悲観した1984年2月に自らの手でその生涯を閉じてしまった。彼は親日家であり日本にも2度来日するなど、日本での活動も視野に入れていたというだけに誠に残念だった。オーストラリアの精神病院の看護士と患者が結成したテロリズムを音楽に置き換えた奇跡的なノイズユニットは事実上このアルバムを持って終焉を迎えたのである。


《Parsonnel》
Oblivon: synthesizer,electronics, tape,metal percussion,vocals
Ne/H/iL: synthesizer,electronics,tape,vocals
Piker: drums,metal percussion


《Track List》
A1 GenetikTransmission
A2 Post-Mortem
A3 Desolation
A4 Napalm / Terminal Patient
A5 Cry From The Sanatorium
A6 Baby Blue Eyes
A7 Israel
A8 Internal Bleeding
A9 Chamber Musik
B1 Despair
B2 The Agony Of The Plasma
B3 Day Of Pigs
B4 Wars Of Islam
B5 Maladia Europa (The European Sickness)


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