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1 May 2014

Deutsch Amerikanische Freundschaft ‎– Für Immer [LP/Virgin ‎– V 2239 1982 UK]

1982年にリリースされたD.A.F.の通算5枚目、D.A.F.のVirgin Records移籍後の第3弾アルバム。プロデュースは前作に引き続きConny Plankが担当している。このアルバムでも1981年にリリースされた"Alles Ist Gut"、"Gold Und Liebe"同様にシーケンサーを駆使した重厚なシンセ・ベース、Robert Görlの生ドラムによるハンマー・ビートに、Gabi Delgado の男臭いボーカルというシンプルな構成は変わっていない。しかし、所謂Body Music3部作のラストを飾る本作ではこのスタイルがこなれてきており、前2作がモノクロな印象があるのに対し、シンセ・ベースもより重厚になり、効果的なSEやパーカッシブなドラミングも聴くことが出来、音色が豊かになった印象だ。特にA2.Ein Bisschen Krieg では迫り来るようなシンセ・サウンドにGörlのハンマー・ビートが炸裂、Gabiのボーカルも圧倒的かつ強迫的で、Electric Body Musicの雛形とも言えるサウンドを聴く事が出来、また、シングル・カットされたA4.Verlieb Dich In Mich の軽快なダンス・サウンド、そして名曲B1.Kebab - Träume はこのアルバムの聴き所であろう。このアルバムに収録された"Kebab - Träume" は1980年にMuteからリリースされた7インチ・シングルの再録バージョンで完全に別物。ガレージ・パンクっぽい初期のサウンドから重厚なシンセにメタリックなハンマー・ビート、さらに、かなりダンサブルにアレンジがなされており、「Deutschland, Deutschland, alles ist vorbei」の大合唱はメチャクチャ格好いい。そして、B5.Wer Schön Sein Will, Muss Leidenは哀愁漂うシンセ・サウンドとGabiの淡々として歌い上げるボーカルが印象的なこのアルバムのラストを飾るに相応しい名曲。D.A.F.はこのアルバムを最後に一旦解散し、それぞれソロ活動に入り、ボーカルのGabi Delgado は同じくVirgin Recordsからアルバム「Mistress」、Robert GörlはMuteに戻り、アルバム「Night Full Of Tension」を発表している。シンセ・ベース、生ドラム、エロチックでワイルドなボーカルというミニマムな構成でサウンドを成り立たせた、プロデューサーのConny Plankの一種発明的なサウンドはこのアルバムで完成を見る。


《Track List》
A1.Im Dschungel Der Liebe
A2.Ein Bisschen Krieg
A3.Die Götter Sind Weiss
A4.Verlieb Dich In Mich
A5.Geheimnis
B1.Kebab - Träume
B2.Prinzessin
B3.Die Lippe
B4.Verehrt Euren Haarschnitt
B5.Wer Schön Sein Will, Muss Leiden


30 March 2014

Chris And Cosey ‎– Trance [LP/Rough Trade ‎– Rough 44 1982 UK]

元Throbbing Gristleのエレクトニクス担当のChris CarterとCosey Fanni Tuttiで結成されたエレクトロ・デュオChris And CoseyのRough Tradeから1982年にリリースされた2ndアルバム。レコーディングはロンドンから北東に170キロ離れたノーフォーク地方にある彼ら自身のスタジオで行われ、サウンド的には前作同様に反復する打ち込みによる様々なリズムパターンに浮遊感漂うシンセサウンドやノイジーな効果音、ボイス・コラージュなどを被せていくという無機質でミニマムなエレクトロ・サウンドであるが、リズムはより強化され、輪郭がハッキリして聴きやすくなっている。とは言えポップな面もありつつもこのアルバムでも、インダストリアル・バンド出身者らしく、様々な毒(ノイズ)はキッチリ盛り込まれているのでインダストリアル・ミュージック・ファンでも抵抗無く受け入れられるだろうし、インダストリアルに抵抗のあるテクノのファンにも是非聴いてもらいたい。また、この時期まではThrobbing Gristle時代に使用していた機材を使っているせいかThrobbing Gristleのアルバム等で聴き覚えのあるサウンドが所々に登場するが、特にA2.Lostで聴かれる打ち込みのリズムはThrobbing Gristleの12インチシングルの「Discipline」を想起させる。Chris And Coseyのアルバムの1stやこの2ndアルバムを聴くにつけ、Throbbing Gristleのサウンドの骨格はChris Carterが作っていたのだと再認識させられた。尚、このアルバムは長らく廃盤になっていてたが、2012年に日本のBirdsongからオリジナルの8曲にボーナストラック2曲を加えて、10曲入りで再発されている。


《Track List》
A1.Cowboys In Cuba
A2.Lost
A3.The Giants Feet
A4.Impulse
B1.Re-Education Through Labour
B2.Secret
B3.Until
B4.The Gates Of Ancient Cities


9 October 2013

Sprung Aus Den Wolken ‎– Untitled [LP/Faux Pas ‎– Faux Pas 01 1982 GER]

Sprung Aus Den Wolken (スプラング・アウス・デン・ヴォルケン=雲からの跳躍)は画家のKiddy Citnyを中心に、Peter Prima、Fred Alpiが加わり、この3人を主要メンバーとして1980年に旧西ドイツのベルリンで結成され、同じくベルリンを拠点に活動したEinstürzende Neubauten、Die Tödliche Dorisらと共にベルリン・アンダーグラウンド・シーンを代表するグループである。当時、彼らはEinstürzende Neubautenらとは交流が深く、NeubautenのメンバーのAlexander Von Borsigも参加しているし、彼がNeubautenのメンバーになる前にChristiana F.と組んでいた別グループSentimentale Jugendの作品をKiddy Citnyが設立したカセット・レーベルDas Cassetten Combinatからリリースしている。Sprung Aus Den Wolkenがドイツ国内で注目を浴びたのは1981年9月4日にベルリンのテンポドロームで開催されたベルリン・アンダーグラウンド・アーティストの伝説のイベント「Die Grosse Untergangsshow - Festival Genialer Dilletanten」でのパフォーマンスで、このイベントには彼らの他に主催者であるWolfgang Müller が率いたDie Tödliche Dorisはもちろんのこと、Einstürzende Neubauten、Frieder Butzmann、Sentimentale Jugendなど凄いメンツが出演していた。因にこのライブの模様は2005年にドイツの再発レーベルVinyl on demandからCD+DVDでリリースされている。彼らはグループ結成後、1981年に自身のレーベルから2つのカセット・アルバム、Zick Zackから12インチの8曲入りミニ・アルバムを、1982年には彼らが設立したレコード・レーベルFaux Pasからオランダでのライブを収録したアルバム「Walte - Ketzer」をリリース。同じく1982年に自身のレーベルFaux Pasからリリースしたスタジオ録音盤の「Untitled」が実質的1stフル・アルバムである。このアルバムはCassetten Combinats Studioでレコーディングされ、音の方はと言うと意外にファンキーなベースに単調なリズム、時折絡むエレクトロニクス・ノイズ、テープによる異様なSEのコラージュや軟弱なメタル・パーカッション、ダブ的音響処理が聴く事が出来、そして、Kiddy Citnyのアジテーションの様なボーカルやナレーションなどがフューチャーされている。ノイジーで奇天烈なサウンドと写真で見る彼らの異様な風態などは、当時の東西冷戦時代のベルリンの社会情勢や不穏な雰囲気を反映している。尚、このアルバムは長らく廃盤で入手困難であったが、2008年オーストリアのレーベルKlanggalerieより「Faux Pas 1」としてCDで300枚限定で再発されている。


《Track List》
A1.Noch Lange Nicht
A2.Freue Mich Auf Dich
A3.Warte
A4.Sei Still
A5.Ai Akcam La
A6.Que Pa
B1.Als Wäre Nichts Gewesen
B2.Begehre Dich
B3.Nur Noch Beben
B4.Mach Mit Mir Was Du Willst
B5.Urlaub Für Ganz Berlin
B6.Längst Fällig
B7.Gong A Minute


23 September 2013

Tommi Stumpff ‎– Zu Spät Ihr Scheißer. Hier Ist: Tommi Stumpff [LP/Schallmauer ‎ SCHALL 023 1982 GER ]

1978年から1982年に掛けてドイツのデュッセルドルフで活動していたパンク・バンドDer KFCのボーカルで、フロントマンだったTommi Stumpff (トミー・シュタンプ)はバンド解散後に、ソロに転向。1982年にドイツのインディペンデント・レーベルSchallmauer からリリースされたアルバム「Zu Spät Ihr Scheißer. Hier Ist: Tommi Stumpff」はTommi Stumpffのソロ転向第1弾で3000枚限定での発売。このアルバムはデュッセルドルフのStudio Klangwerkstattで録音され、ボーカルは勿論のこと、演奏もプロデュースもすべてTommi Stumpff自身が行い、アルバム・ジャケットはThe Crashの「London Calling」をパロディっぽくしたものになっている。音の方は、ソロになったという事もあり、バンド時代と違って、シンセサイザーを駆使した全編打ち込みによるエレクトロニクス・サウンドに変貌している。そこにパンク・バンド出身者らしいワイルドなボーカルにメタリックなパーカッションやピストルの発砲音の様なサンプリング音が炸裂するミニマム・シンセ・パンクサウンド。もちろん、テクノロジーが発達した現在の基準で聴けばチープな事は否めないが、1980年代中盤頃から後半に盛り上がったエレクトリック・ボディ・ミュージックのプロトタイプとも言える重要な作品。彼はその後もソロ活動を続け、1983年にGiftplattenレーベルから12インチ・シングル「Contergan Punk」、1985年にWhat So Funny About..レーベルから12インチ・シングル「Seltsames Glück」の2枚をConny Plankプロデュースでリリース。この2枚のシングルでファースト・アルバムを凌駕する破壊力満点のエレクトロニクス・ジャンク・サウンドを披露している。しかし、残念ながら現在も尚、このアルバムは未だにCD化されておらず、オリジナルのヴィニール盤も入手困難の状況だが、ファースト・アルバムから3曲を抜粋、上記のシングル2枚と未発表曲を収録した編集盤「Mich Kriegt Ihr Nicht (Back Up 1982–1985)」は比較的入手しやすいのでD.A.F.やDie Kruppsなどが好きな方には是非聴いてもらいたい。彼の風貌といい、凶暴なボーカルといい、ジャンクなサウンドといい、ドイツのFoetusだ。


《Track List》
A1.Crêve Petit Con
A2.Helden Sterben Nie Allein
A3.Zu Spät
A4.Cours Dani
A5.Die Stimme Des Herrn
B1.Alarm
B2.Ich Will Gewinnen
B3.Echoes In Der Nacht
B4.Pour Rien


20 September 2013

Die Krupps ‎– Volle Kraft Voraus! [LP/WEA ‎– WEA 58 463 1982 GER ]

Die Krupps (ディー・クルップス)は1976年に旧西ドイツの工業都市デュッセルドルフで結成されたパンク・バンドMaleのメンバーだった、Jürgen Engler、Bernward Malakaを中心にMania DのEva Gößling、S.Y.P.H.のRalf Dörperらが加わって1980年に結成されたバンド。バンド名のKruppsはナチス政権下で「鉄鋼王」として、また「死の兵器商人」として世界史にその悪名を轟かせたAlfred Kruppの姓から取られている。バンドは明らかに反ナチスであり、この名称にしたのは第二次世界大戦においてナチスが軍拡を進めるのにKrupp家の役割を強調する為であろう。バンド結成後、同じくデュッセルドルフのバンドD.A.F.の前座を務め、早くも評判になった彼らは、1981年にハンブルグのインディペンデント・レーベルZick ZackからミニLP「Stahlwerksymphonie = 製鉄所交響曲」でデビュー。このアルバムでは片面1曲ずつの14分に渡るメタル・パーカッションを駆使した実験的なインストゥルメンタル・サウンドを展開している。しかし、次のシングル「Wahre Arbeit - Wahrer Lohn」では、作風が一転、D.A.F.を彷彿させるシーケンサーとハンマー・ビート、Jürgen Englerがデビューから使用しているStahlofon(シュターロフォン=鋼鉄製の打楽器)によるメタル・パーカッションを絡めたエレクトロ・パンク・サウンドに変貌していた。そして、1982年にWEAからリリースされた「Volle Kraft Voraus!」は彼らの1stフル・アルバム。このアルバムも基本的にはシングルの延長線上にあるが、同時期のD.A.F.と比べるとややチープというか、音に重量感が不足している感は否めない。メタル・パーカッションにしても同じドイツのEinstürzende Neubauten程の爆発力は無く、アイデアは悪くないだけにプロデューサーがD.A.F.と同じConny Plankが担当してたらもっと良くなったのでは?と思うとすこし残念だ。それでも、当時の機材的に制約があるなかでD.A.F.らと共にエレクトロ・パンク〜エレクトロ・ボディ・ミュージックの原型になった重要な作品だ。尚、Ralf Dörperはこのアルバムを録音後にバンドを脱退して、新グループPropagandaを結成し、成功を収めている。(1989年にDie Krupps復帰)また、この作品は永らく廃盤になってCDでの入手が困難な状況だったが、2008年にデラックス・エディションでオリジナルに加え、シングルをボーナス・トラックとして追加し、さらにオリジナル・アルバムをまるごと最新のリミックスを施した豪華2枚組で再発されている。


《Track List》
A1.Volle Kraft Voraus
A2.Goldfinger
A3.Für Einen Augenblick
A4.Tod Und Teufel
A5.Das Ende Der Träume
B1.Neue Helden
B2.Wahre Arbeit, Wahrer Lohn
B3....Denn Du Lebst Nur Einmal
B4.Zwei Herzen, Ein Rhythmus
B5.Lärm Macht Spass

22 August 2013

You've Got Foetus On Your Breath ‎– Ache [LP/Self Immolation ‎– WOMB OYBL 2 1982 UK]

本名J.G. Thirlwellことオーストラリア・メルボルン出身のJim Foetusの1982年に自身のレーベルSelf Immolationからリリースした"You've Got Foetus On Your Breath"名義の2ndアルバム。アルバム・ジャケットは1stアルバムに続いて、彼のお得意のロシア構成主義的なアートワークを用いて、わずか1500枚限定で発売された。その為、当時は、1stアルバム同様に入手困難で、稀に見かけてもとんでもない高値で売られていた。1997年に米国のレーベルThirst Earから限定4000枚でCDが再発され、一般的に出回る様になった。さて、音の方は、基本的にはジャズ、ファンク、ラウンジ、フリー・ミュージックをミックスし、ジャンク・ノイズなどのインダストリアルなフレーバーを加味した1stアルバム「Deaf」の延長線上で、雑多なジャンルを手当たり次第に放り込むのがFoetusの持ち味だが、アイデアに関して彼は、インタビューで「いかにもショービズ風のビッグ・バンド的なものは、60年代の安っぽいバラエティ番組がヒントになっている。」と語っている。また、前作同様、綿密に練ったアレンジに加え、曲調もポップ度が上がって聴きやすくなっているし、前作に較べレコーディング技術が熟れてきたのか、チープではあるが1stよりは音に力強さが感じられる。前作は実験色が強く、The Pop Groupのインダストリアル版的サウンドであったが、この2ndはよりキッチュでコミカルな部分が強調され、さながらMadnessのインダストリアル版の様で、さらに独特のダミ声で唄うFoetus節も健在である。また、西ドイツのベルリンでのライブを観て、衝撃を受けたというEinstürzende Neubautenの影響か、メタル・ジャンクなパーカッションの使用頻度も増え、次作の傑作アルバム「Hole」に繋がるサウンドも垣間見せている。この時点では、まだ「Hole」で見せた爆発力はには到底及ばないが、この頃すでに彼の独自のサウンドの確立を再確認させられるルーツ的な作品。このアルバムも1stの「Deaf」同様に秀逸なアートワークでコレクターに人気があり、アナログ盤LPは未だに高値安定で入手困難である。


《Track List》
A1.Dying With My Boots On
A2.J. Q. Murder
A3.Gums Bleed
A4.Mark Of The Ostracizor
A5.Exit The Man With 9 Lives
B1.Get Out Of My House
B2.Wholesome Town
B3.Whole Wheat Rolls
B4.Kid Hate Kid
B5.Instead...I Became Anenome


19 April 2013

Esplendor Geométrico - EG 01 [MC/Datenverarbeitung data0011 1982 GER]

Esplendor Geométrico(エスプレンドール・ゲオメトリコ)(以下E.G)は1980年9月スペインのマドリッドで結成された。初期のメンバーはArturo Lanz(アルツロ・ランツ)、Gabriel Riaza(ガブリエル・リアサ)、Juan Calos Sastre(ファン・カルロス・サストレ)の3人。彼らはもともとDEVOに影響を受けたというテクノ・バンドEl Aviador Droのメンバーであったが音楽的見解の違いから分裂してE.Gの結成となった。因みにグループ名Esplendor Geométricoとは(幾何学的なきらめき)はイタリアの未来派詩人F.T.マリネッティのエッセイ「幾何学的および機械的輝きと数的感受性」から取られている。伝説的と言われた彼らだがその所以は当時スペインで最初のインダストリアルバンドであり、インディペンデント・バンドであったからだ。E.Gの最初のレコードリリースは1981年、7''Singleをスペイン国内のみでリリース。そして、このカセット「EG1」は81年9月にスペイン国内で300本限定リリースされた作品の再発で1982年旧西ドイツのDataよりリリースされたが、この作品で一躍、国際的インダストリアルシーンにE.Gの知名度を獲得したエポックメイキング的作品。さて、音の方は腐食したボロボロの金属ビートの反復が延々と続き、そこに様々なノイズが絡みつくぶっ壊れたテクノイズサウンド。まるで古いポンコツの機械が暴れだしている様なノイズだ。ただ、ノイジーではあるがリズミックなサウンドなので聴くには苦にならないし、最後まで聴き通せる。この「EG1」は2000年に彼らのレーベルGeometrikからオリジナルの9曲に加え、ボーナストラックで未発表曲を3曲、デモ曲を3曲追加した「EG-1+」としてCDで再発された。現在も現役の彼らはアルバムリリースもコンスタントにしている。後のAphex TwinやAutechre、Pansonicなどメジャーなテクノアーティストに多大な影響与えた重要なグループだ。


《Track List》
A1.Muerte A Escala Industrial
A2.Neuridina
A3.El Cabecilla Del Vaticano
A4.La Ciudad De Los Heroes Rojos
A5.Amor En Mauthaussen
B1.Paedophile Information Exchange
B2.Destrozaron Sus Ovarios
B3.Quince Años Tiene Mi Amor
B4.Maria Luisa


14 April 2013

Mau Mau - Kraft [LP/Polydor - 2372 107 1982 GER]

Mau Mau (マウ・マウ) はD.A.F.に2ndアルバムまで在籍していたギタリストWolfgung Spelmansと最初期のD.A.F.のメンバーだったベーシストMichael Kemnerが中心になって1981年に結成、その2人の他にFred Heimermann、Lorenz Altendorfが参加している。このバンドの中心人物のWolfgung SpelmansはD.A.F.を脱退した理由を「私は単に曲を作ってギターを弾くだけのギターリストにはなりたくなかった。私には色々アイデアがあったが、それを実現するための自由はD.A.Fではなかった。」とインタビューで答えている。このアルバムはメジャーのPolydorから1982年にリリースされ、Mau Mauにとって唯一のアルバムである。このアルバムにはゲストとしてCANのドラマーJaki LiebezeitがA1,A6で何故かドラムではなくトランペットで参加。またA6,B1,B5で参加しているTabuなる女性ボーカルは非常に透明感のある声の持ち主で、後にMau Mau解散後にWolfgang Spelmansが結成するユニット"Plaza Hotel"にJaki Liebezeitと共に参加している。(これも超おススメ)さて、音の方だが、突んのめる様な性急なビートやファンクっぽいビートに初期D.A.F.風の怪しいシンセ音、そしてSpelmansお得意のシャカシャカギターが絡むジャーマン・ポストパンクというべきサウンドを展開。参加している曲は少ないながらも、Jakiのトランペット、Tabuのボーカルは効果的である。ただ、SpelmansのギターにD.A.F.在籍時代の過激さが後退しているのは少し残念だが、初期のD.A.F.やGerman New Wave好きにはお薦めの一枚。しかし、このアルバムは当時のChrislo Hassが率いた Liaison Dangeruses同様にD.A.F.程の成功は得られず、シングル2枚を残してひっそりとグループは解散してしまう。D.A.F.を脱退した2人の(Chrislo Hass,Wolfgang Spelmans)アルバムを聴くにつけ本当に才能があったと思うし、もしもD.A.F.が分裂せずあの4人のままでバンドとして突き進んで進化していたらと思うと只々残念。


《Track List》
A1.So Weit Die Füße Tragen
A2.Auf Der Jagd
A3.Geradeaus
A4.Alles Lüge
A5.Rhythmus Der Trommel
A6.MM Dub
B1.Mau Mau
B2.Abenteuer Im All
B3.Kampfjacken
B4.Wie Ein Mann (Benimm Dich)
B5.Dondola

24 May 2010

23 Skidoo - Seven Songs [Mini LP/Fetish FM 2008 1982 UK]

23Skidoo(トゥエンティスリー・スキドゥ)は英国はシェフィールド出身のエスノ・インダストリアル・ファンクバンド。1979年にFritz Catlin,Alex Turnbull, Johnny Turnbull, Sam Mills, Tom Heslopで結成された。バンド名の由来はAleister Crowley, William S. Burroughsなど、映画Julian Biggsの作品に登場する神秘的な啓蒙主義のフレーズにちなんで命名された。1981年に発表された彼らの1stシングル「Ethics」、2ndシングル「Last Words」では同郷のCabaret VoltaireのStephen MallinderとRichard H. Kirkがプロデュースしている。この1stミニアルバムはThrobbing Gristleのリリースで知られるFetish Recordsから1982年にリリースされ当時のUKインディー・チャート1位に輝いた作品。テープによるエレクトリックノイズや変調されたエスニックな楽器、金属打楽器に強烈なパーカッションなどがランダムに絡みながら、ブリブリのファンク・ビートで展開される混沌としたサウンド。このアルバムは28年前の作品だが、現在聴いても古さを感じさせない。The Pop GruopやRip Rig & Panic,Pigbag,A Certain Rationなどと共に現在でも評価が高い異形のファンク・バンド。2008年にはLTM Publishing (Les Temps Modernes)からこのアルバムも含め3種のアルバムがボーナストラック付きで再発されている。


《Track List》
A1 Kundalini
A2 Vegas El Bandito
A3 Mary's Operation
A4 Lock Groove
B1 New Testament
B2 IY
B3 Porno Base
B4 Quiet Pillage

23 May 2010

Lustmørd - Lustmørd [LP/Sterile SR 03 1982 UK]

英国のLustmord(ルストモード)は1980年初頭から活動するBrian Williamsのソロ・プロジェクトである。Lustmordは音響、映像、言語等各種媒体を混合させてサブリミナルアタックを行う情報神経戦、即ちT.G,N.E,S.P.K.によって展開されたインダストリアル・ミュージックにおけるマージナルマンであった。1983年には第三のメンバーとしてS.P.K.のツアーに参加し、S.P.K.の12インチシングル「Dekompotisiones」に協力している。また、C.T.I.のギグ、12インチシングル「Conspirasy Internatinal Two」にも協力した。この1stアルバムは1982年にNocturnal Emissions主宰のSterile Recordsからのリリース。このアルバムにはN.E、Monte Cazaza(PTV)、Glenn Michael Wallis(Konstruktivits)等が参加し、協力を得て制作された。音の方は歪んだ強迫的電子リズムに猛烈なハウリングノイズ、金属パーカッション、絶叫するヴォーカルなど空間すべてノイズで埋め尽くされる凄まじさ。T.GやN.Eをも凌駕する血生臭いノイズが収録されている。ただ、このアルバムは全体の構成が計算尽くされていて、ただの出鱈目ノイズ垂れ流し作品ではない。S.P.K.の2ndと並ぶインダストリアルノイズの傑作。このオリジナルアルバムは稀少がゆえ高値安定で入手困難ではあるがドイツのDark Vinyl Recordsから「A Document Of Early Acoustic & Tactical Experimentation」というアルバムが1991年にCDでリリースされ、1stアルバムに加えてボーナストラックでLive音源、コンピレーションアルバム参加時の音源が収録されている。 このアルバムは現在も比較的入手は容易である。

《Track List》
A1 At Thee Mountains Of Madness
A2 Headplate
A3 Sibling
A4 Murderwreker
B1 Slabstone
B2 Arise
B3 Kredo / Nemo
B4 Beast Of Burden Beast Of Prey

16 May 2010

Portion Control - I Staggered Mentally [LP/In Phaze CP007 1982 UK]

Portion Control(ポーション・コントロール)は1980年に英国はサウス・ロンドンでDean Piavanni,、Ian Sharp、John Whybrewので結成され、Hard Rhythmic Electronicsを標榜したIndustrial、Electro-Punk、EBM(エレクトロニック・ボディミュージック)スタイルの3人組。Cabaret Voltaire、Front242、D.A.F.の様にメジャーには成れなかったが80年代後半にクラブを席巻したEBMアーティストの連中(Skinny Puppy, Front Line Assembly etc・・)やメジャー所ではあのDepeche Modeに多大な影響を与えた、知る人ぞ知る伝説のハードエレクトロニクスユニット。1983年には23Ski Dooや400Browsらが在籍したIlluminated Recordsと契約、84年まで3枚の12インチシングルと1枚のアルバムを発表し、同じく84年にはDepeche ModeのUK&Europian Tourのサポートを務めている。結成した1980年から数種類のMC作品をリリースしているが、このアルバムは1982年発表の1stLP作品。最初期のMC作品ではチープなシンセポップだったが、このアルバムでは、リズミックでハードなビートに過度にエフェクトを掛けたエレクトロニクス、打ち込みによるメタリックなパーカッションそして野獣のようなワイルドなボーカルとまだまだ荒削りだがEBMの原型が既に見て取れる。勿論彼らが使用した当時の機材とサンプラーなどの機材が発達した80年代中盤以降のアーティストに比較すれば音の迫力では劣るが、アナログシンセを目一杯駆使し、インダストリアルな要素を上手く取り入れたハードエレクトロニクスの名盤。 オリジナルのLPは現在でも人気らしく高値安定で取引されていて入手困難だが、彼らのウェブサイト《→This》でこのアルバムを含む4枚のアルバムと12インチシングルをまとめたCD5枚組のArchiveが発売されている。1986年で一旦活動を中止していたが1993年に変名ユニットSolar Enemyで復活。2枚のアルバムと1枚のシングルを発表し再び活動休止。その後は過去の作品をウェブ上で発表していたが2004年Portion Controlとしてアルバム「Welcome」を発表し再復活を果たした。現在も活動継続中でアルバムもコンスタントに発表している。

《Track List》
A1 He Is Patriotic (3:18)
A2 Out Of Order (3:47)
A3 Plateau Stage (4:15)
A4 All Present And Correct (3:32)
A5 Karsic (3:21)
B1 Sex Crimes (4:31)
B2 Sure Is Kinda Spooky (2:29)
B3 Mass Disorder (5:02)
B4 Fiends (3:22)
B5 Sort Out (3:08)

14 May 2010

Sozialistisches Patienten Kollektiv - Leichenschrei [LP/Thermidor TR 09 1982 US]

S.P.K.の2ndアルバムはSozialistisches Patienten Kollektiv名義でオリジナルは米国のThermidor Recordsから1982年にリリースされた。ジャケットは今回も彼らお得意のかなりショッキングな写真が採用されている。(2ndエディションはジャケット違いで自身のレーベルSide Effectsからのリリース) 作品毎にプロジェクト名、メンバーを変化させてきたS.P.K.だが、このアルバムでもメンバーチェンジをしており、渡英し1stアルバムをリリースしたGreame Revell (Oblivon)がオーストラリアへ戻り、渡英せず仲違いしてたオリジナルメンバーのNe/H/iLことNeil Hillが復帰し,新メンバーJames Pinkerを加えた3人を中心に製作する。また、後にGreame Revellと行動を共にする、女性ボーカルのSinanや第三のメンバーと言われたLust Mordもクレジットされている。シドニーで録音された2ndアルバムは、1stの荒々しいノイズの洪水から大分整理され、エレクトロニクスリズムの強化、効果的なSE、それに絡む切れ味鋭いメタルパーカッションの比重も高くなったサウンドは、綿密な構成ともに完成度の高い作品になっている。勿論、エレクトロニクス・ノイズや精神病患者の声、女性の悲鳴、ポルノ、軍事訓練の映画、テレビとロシアの修道院の歌などをサンプリングしたというテープをコラージュするなどインダストリアル的な要素も満載だから、万人に薦められるわけではないがS.P.K.の最高傑作にしてインダストリアルミュージックの歴史に残る名盤。S.P.K.はこのアルバムをリリース後シドニーでのライブを2度こなし、小規模ながら米国ツアーを敢行するなど精力的な活動をする。その模様の1部は1983年にTwin VisionからリリースされたVHSビデオ「Despair」に収められ、Greame Revellがライブで羊の脳を喰いちぎったという伝説的パフォーマンスも収録されている。また、米国ツアーの1部であるカンサス州のローレンスで行われたライブはカセット「The Last Attempt At Paradise 」というタイトルで米国のFresh Soundsからリリースされるなど、一見バンド活動は順調に見えた。しかし、バンドの方向性を巡り、コマーシャルなアプローチも含めたアートプロジェクトを模索するGreame Revellとラジカルで政治的な活動を主張するNeil Hillが再び対立。Greame Revellは女性ボーカルのSinanと共に再び英国へ渡ってS.P.K.を続け、S.P.K.を脱退したNeil Hillはオーストラリアに残って新バンドのKPSを結成するも彼の妻Margaret Hillが心臓麻痺で急死し、それを悲観した1984年2月に自らの手でその生涯を閉じてしまった。彼は親日家であり日本にも2度来日するなど、日本での活動も視野に入れていたというだけに誠に残念だった。オーストラリアの精神病院の看護士と患者が結成したテロリズムを音楽に置き換えた奇跡的なノイズユニットは事実上このアルバムを持って終焉を迎えたのである。


《Parsonnel》
Oblivon: synthesizer,electronics, tape,metal percussion,vocals
Ne/H/iL: synthesizer,electronics,tape,vocals
Piker: drums,metal percussion


《Track List》
A1 GenetikTransmission
A2 Post-Mortem
A3 Desolation
A4 Napalm / Terminal Patient
A5 Cry From The Sanatorium
A6 Baby Blue Eyes
A7 Israel
A8 Internal Bleeding
A9 Chamber Musik
B1 Despair
B2 The Agony Of The Plasma
B3 Day Of Pigs
B4 Wars Of Islam
B5 Maladia Europa (The European Sickness)