24 April 2013

Cabaret Voltaire - The Voice Of America [LP/Rough Trade ROUGH 11 1980 UK]

英国の工業都市シェフィールド出身のCabaret Voltaire(キャバレー・ヴォルテール)の1980年にRough Tradeからリリースされた2ndアルバム。グループ結成の経緯は《→This》このアルバムタイトルの「The Voice Of America」はアメリカの放送局の名称だが、それは彼らがアメリカに訪れた際に、あまりにも多いテレビ局と一晩中放送を垂れ流すという英国とは掛け離れた事実に衝撃を受け命名された。そして、インタビューでRichard.H.Kirkは「僕らはアメリカの自由に魅了されたが、別のダークサイドも意識していた」と語っている。取り分け彼らが興味を持ったのがテレビで観たScott宣教師の安っぽい番組で、後にScott宣教師の声は「Sluggin Fer Jesus」で採用されている。さて、この2ndアルバムは、初期のシングルや1stアルバムよりも所謂ニューウェイブっぽいノリは排除されてエクスペリメンタルに徹している。音のほうはCab'sお得意のディレイの掛かったチープなリズムボックスで反復する催眠的なリズムが軸になり、その反復リズムにエフェクトを極端に掛けたノイジーなギター、そこに呪術的なボーカル、テープによるヴォイスサンプルや金属的パーカッションや具体音がカットアップ、コラージュされ、不気味に絡んでいくインダストリアルサウンド。殺伐としていて荒涼とした風景を想起させられる音楽だが、不況だった当時の工業都市シェフィールドの経済状況を反映している。正直、現在の音の水準で言えばチープな感じは否めないが、当時はサンプラーなどもなく楽器もまともに演奏出来ない彼らがインスパイアされた作家W.S.Burroughsのカットアップ手法をレコード技術上ででさらに発展させた「Mix Up」手法を完成させた一枚。初期Cab'sの傑作である。


《Track List》
A1.The Voice Of America / Damage Is Done
A2.Partially Submerged
A3.Kneel To The Boss
A4.Premonition
B1.This Is Entertainment
B2.If The Shadows Could March? (1974)
B3.Stay Out Of It
B4.Obsession
B5.News From Nowhere
B6.Messages Received


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